扉を開けば
そこにある
かけがえのない
春の命に
わたしは何と
こたえよう
手を伸ばしても
届かない
それなのに
どうしてわたしは
それなのに
どうしてわたしは
時にためらい
時に苦しみ
行くのでしょう
たったいま
一羽の小鳥が羽ばたいて
ああ、電線が
空に向かって
手を振るように
空に向かって
手を振るように
ゆれています
幸福でもない
うつくしくもない
そんな
そんな
何気ない日々の
ひそやかな祈りが
わたしの心を
ひそやかな祈りが
わたしの心を
いっそう切なく
尊いものに変えました
そうして
しぼんだ花に
しぼんだ花に
頬をあて
また来る春を
想うとき
わたしは
わたしは
知りました
わたしの中にも
ぬくもりが
わずかばかりの
ぬくもりが
たしかにあるということを
わたしは
ぬくもりが
わずかばかりの
ぬくもりが
たしかにあるということを
わたしは
わたしは
知りました
知りました
窓を開けば
ここにある
かけがえのない
春の命に
わたしは何と
こたえよう