きみがいなくなった世界を
想像してみる
しかしそれは
黒く塗り潰された絵画を
いつまでも見続けなければいけないほどに
耐えがたいこと
それならば最初から
真っさらなままであればよかったのにと
思ってしまう
きみがいてこそ
素晴らしい無限の色調がある
きみがいてこそ
あらゆる風景や人物を
愛しさと共に描くことができる
なぜかといって
ぼくらの絵筆は
きみが動かしているも同然なのだから
それがもしも
きみがいなくなってしまうのなら
青々と広がる海も、空も
緑の木立も、淡き花々も
その繊細な色のすべては
だんだんと濁ってゆき
天真爛漫に羽ばたく鳥たちや
祭典に狂熱する人々たちも
みな魂を奪われ
生気を無くした石ころのようにさえ
描けなくなってしまう
これが信じられないというのなら
今すぐに君は
僕らの前から消えてみればいいさ
けれどそんなことをすれば
ぼくらが創造する作品の数々を
きみが鑑賞することも
また出来なくなるけれど