2018年4月16日月曜日

彼方より



彼方より
見えない力によって
啓示されているものに
絶え間なく
導かれる

そのために
間違いを犯すことからは
逃れようもなくなる

変えられる
信じなければ
生きていくことなどできない

このか弱い命が
償えるとすれば

それは

受け取ったものを
大切に
守ろうとすること

手放すことなどできない
ということを
ひと時も忘れずに
感じることなのでしょうか


La Crise de l'Esprit




政治とは権力の奪取と保持の意志である。
政治は人々に強制と幻想を働きかけるのだ。
人々はあらゆる権力の素材である。

政治精神の行き着く先は常に偽造である

Ambroise Paul Toussaint Jules Valéry〜


祖国を愛するまえに
貴様たちはどうして!
おお、神よ!
潔白ではいられないのか!
それでもこの国を
愛したいとおもうのは
ああ、なぜでしょうか!
そして、神よ!
あなたがそれを
許してくださるのは
どうしてなのでしょうか?
おお、神よ、、、神よ、、、



2018年4月15日日曜日

ghostly poem 11




                   ぼくは少し前に
        まだ風の冷たい夜の海へと出かけました。
                 その海からの帰りに
        ふとあることに気づいたように思います。

それは
この世界に生きてある限り
本当に真っ暗な、深い闇などないということです。
       
      ぼくはしばらく浜辺をさまよい歩きました。
      柔らかな砂を踏み、倒れた流木に目を凝らし
     あらゆる方向から吹き付ける冷たい潮風を浴び
時おり雲と雲の隙間に閃くいくつもの星座を仰ぎ見ながら
    ぼくは荒々しく打ち寄せる獰猛な波音に向かって
            負けじとばかりに声を張り上げ
     自分でも分からない、言葉にもならない言葉を
          半ば狂人のように叫び返したのです。

ぼくのもとに打ち寄せてくるもの
すべてを押し返すように。
          
          そうしてぼくの足をひどくすくませ
         魂さえもうち震えさせたこの夜の海と
 どうにかして親しみ、打ち解けてみたいと思ったのです。
                  そうすればぼくも 
    自分を少しでも変えられると信じていたからです。
          どこからともなく気配を感じました。
   それは叫ぶ前からもうすでに感じていたものでした。
          ぼくの他には誰もいないはずなのに
        どうしても後ろの方を振り向いてみたり 
     平気を装って独り言をぶつぶつとつぶやいたり
              砂に足をもたつかせながら
        首をうろうろさせるしか無かったのです。
               
そうしてやはりあなたは
ぼくに感じたままに感じさせることを
誤魔化すことなどさせてはくれませんでした
                 
                 いつしかぼくの心は
      いくつにも分かれていくような気がしました。
              暗がりに溶け込みながらも
          微かに姿を現わす黒波の音の数だけ
  ぼくの心も止むことなく現れては、いくつにも分裂し
    そのそれぞれが時にはぶつかり合い、混ざり合い
               大きさや形を変えながら
やがてはまたどこかへと消滅していくような気がしました。

現れたものの数だけ
変化し、消えてゆくものがあったのです。
     
     そうしてぼくは自分ではどうにもならない力に
             逃げ出しそうになりながらも
               なんとか向き合いました。
                   
すると今まで
果てしなく遠くの方まで暗かったはずのこの海が
急に明るくなったような気がしたのです。
 
 それは単なる生理的な反応なんかではありませんでした。
    そしてぼくは、ある確信に近い考えに至りました。
           それはこの世界に生きてある限り
           本当の闇などないということです。
         あなたもそう思っているのでしょうか。

光と闇は
必ず補いあわなければ
存在できないのですから、、、
              
                本当に真っ暗な場所を
    その真反対の場所を求めるのと同じような情熱で
   追求し、しまいにはつくり出そうとしてしまうのは

私たちだけなのでしょうか、、、  

あたうる限りの悲劇をつくりだし、また、それを寄せ集め
           いかにもわざとらしく悲しんだり
          時には楽しんだりもしてしまうのは

結局 
私たちだけなのでしょうか、、、



2018年4月10日火曜日

春の扉




扉を開けば
そこにある
かけがえのない
春の命に
わたしは何と
こたえよう



手を伸ばしても
届かない
それなのに
どうしてわたしは
時にためらい
時に苦しみ
行くのでしょう



たったいま
一羽の小鳥が羽ばたいて
ああ、電線が
空に向かって
手を振るように
ゆれています



幸福でもない
うつくしくもない
そんな
何気ない日々の
ひそやかな祈りが
わたしの心を
いっそう切なく
尊いものに変えました

そうして
しぼんだ花に
頬をあて
また来る春を
想うとき

わたしは
わたしは
知りました

わたしの中にも
ぬくもりが
わずかばかりの
ぬくもりが
たしかにあるということを

わたしは
わたしは
知りました


窓を開けば
ここにある
かけがえのない
春の命に
わたしは何と
こたえよう










春の命に



窓を開ければ
ここにある
かけがえのない
春の命に
わたしは何で
こたえよう



手を伸ばしても
届かないのに
時にためらい

時に苦しみ
どうしてわたしは
歩むのでしょう


羽ばたく小鳥に
電線が

いま、手を振るように
ゆれました


すべての美しい

風景よりも
ありふれた
日々の祈りが
わたしの心を
いっそう切なく
尊いものに
変えるのです


枯れた花びらに
頬をあて

また来る春を
想うとき
わたしはわたしのぬくもりを
知りました


扉を開くと

そこにある
かけがえのない
春の命に
わたしは何で
こたえよう






2018年4月9日月曜日

ghostly poem 9




理性を保つために苦悩しない人間の命など
とてつもなく軽いものである。
死ぬか闘病するかしない限り
人間としての重みを期待することなどできない。



2018年4月8日日曜日

2018年4月7日土曜日

ghostly poem 6


満足し続けてしまえば
虚しさがやってくる
虚しさを放っておけば
それはやがて諦めに変わる
満足し、そこで歩みを止めることは
諦めることと同じである。
諦めとは人間にとっての最大の敗北である。



2018年4月3日火曜日

肩を並べて



わたしは
隣にいる
だれかのために
おなじ高さで
歩いているのでしょうか

そうして
言葉も
肩を並べて
けっして
押したおすことも
押したおされることもなく

それぞれの
思いを
それぞれの
真心に
そっと置いてやることが
こんなわたしにも
できるのでしょうか



2018年4月1日日曜日

ghostly poem 5





賑やかな空気に包まれた温かい休息所だったのだろうか。
そんなことは何もわからない、わからなくてもいい。
行き交う人波はぼくの方からそっと合流したのだろうか。
それとも人波の方からぼくに連なってきたのだろうか。
そんなことも何もわからない、わからなくてもいい。
何かを話しながら歩く人はゆっくりと
何も喋らずに歩く人はどこか早足で歩いていたのだろうか。
それとも実際はその逆なんだろうか。
そんなことだって何もわからない、わからなくていい。
ぼくはそのどちらにいるのかと考えた。
口を使って言葉を発さなくとも
ぼくは確かに何かに向かって語りかけているのだし
何かから語りかけられてもいるのだから。
だからぼくは、あるときはスローモーションのように
ある時は早送りのように歩いていたのだろうか、、、
いつしかぼくは満員のメトロに押し込まれていった。