憎ましくおもっている相手が
無様な格好で汚穢な空間に投げ出されている姿に
まるで侮辱語のすべてをしたためた唾液を吐き捨てながらも
わざと憐れみ深い同情の眼差しを送ったあげく
近づいて手を差し伸べようとする素振りを見せるだけで
本当はそのままくたばってしまえばいいと思っていることを
彼に聞こえよがしに聞かせるでもなく聞かせないでもないようにぶつぶつ呟きながら
傍目からはさも献身的で心の優しい聖人のように思われているのだということを
彼に見せしめることができたならばさらに屈辱を与えられるだろうということもわかったうえで
彼に見せしめることができたならばさらに屈辱を与えられるだろうということもわかったうえで
彼が他の人たちからは絶対に救われないようにするために
あえて生き絶えるまで寄り添い続けることで
むしろ最後の最後まで支え続けたがその必死の願いも虚しく終わり
どんな励ましも届かないといった様子でうなだれて
逝ってしまった人を永遠に想っている尊い人のように噂させておきながら
みんなには自分のそんな弱いところを決して見せるわけにはいかないのだと言い聞かせて
死んでしまった最愛の人の代わりにもっと強くたくましく前向きな気持ちで
己の人生を大切にして生きていかなければならないのだという決心を
いまはまだこんなちっぽけで頼りなく未熟だが
それでも志に満ちたこの燃えるような右胸にしゃんと誓ってから
それに周りの人たちが勝手に感動してくれるのを期待しつつ
自分の健気さをそれとなくほのめかすような態度で立ち上がり空涙を浮かべるのだが
内心では相手の全尊厳さえも遺棄するかのごとき残虐非道な心を持って
すぐにはわからなくとも後からじわじわと憎しみが募っていくような目つきをして彼を見下げ
泥にまみれた靴底を相手の口に最初は軽くなすりつけて最後には無理やり口の中に押し込み
やりきれない怒りと恥辱と醜態と絶望を同時に味わわせる方法によって
肉体的にも精神的にもとことんまで苦しませてやると約束したにもかかわらず
実際はそうではなく彼に訳もなく謝罪を要求して相手が謝ろうと謝るまいと
そんなことは一切構わずに彼の髪の毛をむしり取り
汚濁した川に浮かぶ気味の悪い植物と一緒に彼の口の中に押し込むという拷問を加えても
汚濁した川に浮かぶ気味の悪い植物と一緒に彼の口の中に押し込むという拷問を加えても
まだ物足りなく感じてしまっている人でなし的なやり方で
いまさっき生ごみを捨ててしまった。
開きなおってしまった人間は何よりも忌々しい。
開きなおってしまった人間は何よりも忌々しい。