2018年4月15日日曜日

ghostly poem 11




                   ぼくは少し前に
        まだ風の冷たい夜の海へと出かけました。
                 その海からの帰りに
        ふとあることに気づいたように思います。

それは
この世界に生きてある限り
本当に真っ暗な、深い闇などないということです。
       
      ぼくはしばらく浜辺をさまよい歩きました。
      柔らかな砂を踏み、倒れた流木に目を凝らし
     あらゆる方向から吹き付ける冷たい潮風を浴び
時おり雲と雲の隙間に閃くいくつもの星座を仰ぎ見ながら
    ぼくは荒々しく打ち寄せる獰猛な波音に向かって
            負けじとばかりに声を張り上げ
     自分でも分からない、言葉にもならない言葉を
          半ば狂人のように叫び返したのです。

ぼくのもとに打ち寄せてくるもの
すべてを押し返すように。
          
          そうしてぼくの足をひどくすくませ
         魂さえもうち震えさせたこの夜の海と
 どうにかして親しみ、打ち解けてみたいと思ったのです。
                  そうすればぼくも 
    自分を少しでも変えられると信じていたからです。
          どこからともなく気配を感じました。
   それは叫ぶ前からもうすでに感じていたものでした。
          ぼくの他には誰もいないはずなのに
        どうしても後ろの方を振り向いてみたり 
     平気を装って独り言をぶつぶつとつぶやいたり
              砂に足をもたつかせながら
        首をうろうろさせるしか無かったのです。
               
そうしてやはりあなたは
ぼくに感じたままに感じさせることを
誤魔化すことなどさせてはくれませんでした
                 
                 いつしかぼくの心は
      いくつにも分かれていくような気がしました。
              暗がりに溶け込みながらも
          微かに姿を現わす黒波の音の数だけ
  ぼくの心も止むことなく現れては、いくつにも分裂し
    そのそれぞれが時にはぶつかり合い、混ざり合い
               大きさや形を変えながら
やがてはまたどこかへと消滅していくような気がしました。

現れたものの数だけ
変化し、消えてゆくものがあったのです。
     
     そうしてぼくは自分ではどうにもならない力に
             逃げ出しそうになりながらも
               なんとか向き合いました。
                   
すると今まで
果てしなく遠くの方まで暗かったはずのこの海が
急に明るくなったような気がしたのです。
 
 それは単なる生理的な反応なんかではありませんでした。
    そしてぼくは、ある確信に近い考えに至りました。
           それはこの世界に生きてある限り
           本当の闇などないということです。
         あなたもそう思っているのでしょうか。

光と闇は
必ず補いあわなければ
存在できないのですから、、、
              
                本当に真っ暗な場所を
    その真反対の場所を求めるのと同じような情熱で
   追求し、しまいにはつくり出そうとしてしまうのは

私たちだけなのでしょうか、、、  

あたうる限りの悲劇をつくりだし、また、それを寄せ集め
           いかにもわざとらしく悲しんだり
          時には楽しんだりもしてしまうのは

結局 
私たちだけなのでしょうか、、、